‘Chapter8 個人事業者が法人なりした場合’ カテゴリー一覧


個人事業者の廃業に伴う届出書について

2014-12-26

■法人成りの場合、これまでの個人事業として行ってきた事業を廃業し、新しく会社として事業を開始することになります。個人事業を廃止する際、以下のような届出書の提出が必要となります。

 

 ①個人事業の開業・廃業等届出書(所得税)


法人成りにより、個人事業を廃止する場合に提出します。

 

②所得税の青色申告の取りやめ届出書


個人事業を青色申告で申告していた場合は、法人成りをすることによって、個人事業を廃止する際に提出します。新しく設立した会社で青色申告する場合であっても、本届出書は必要になります。

 

③給与支払事務所等の廃止届


従業員や事業専従者に給与を支払っていた場合に提出します。

 

 

④事業廃止届出書(消費税)


個人事業のときに、消費税の納税義務者であった場合に提出します。

注)法人成りした後に、社長個人の不動産を会社に賃貸する場合は、社長に家賃収入が発生します。これは、不動産所得となりますので、確定申告が必要です。したがって、上記の①、②、④の届出書は提出不要です。

法人成りしたあとの個人事業者としての確定申告

2014-12-25

■法人成りしたあとも、個人事業者としての最後の年度の確定申告については、従来と変わらず申告します。その際には、いくつかの留意点があります。


 

①売買契約・現物出資による財産の移転があった場合の留意点


♢所得税と住民税

売買契約、現物出資によって、個人財産を会社に移動させた場合は原則的に、時価で譲渡したものということになり、所得税、住民税が課せられます。個人に対する所得税や住民税は会社に移した財産の種類によって算出方法が異なりますので留意してください。

 

♢消費税

売買契約、現物出資にも消費税がかかります。建物や機械等の高額の財産を移した際は、高額の消費税を支払う可能性がありますので、あらかじめ計算しておく必要があります。なお、土地の売買には消費税がかかりませんが、難しい算出方法が適用されるため、税理士への相談が望ましいでしょう。

 

②個人事業の事業税の見込み控除のしかた


個人事業の事業税は、通常は所得税の確定申告をもとに都道府県税事務所が算出します。その後、個人事業者に通知書が送付され、それにしたがい納付するという流れです。よって、事業税は所得税の計算上、通知書を受け取った年の経費として処理することになりますが、法人成りをした最終年度に関しては、最終年度の確定申告後に通知される事業税を経費とはできません。そのため、「見込額」をその年のうちに前倒しの形で経費化が可能となっています。

 

③法人成りしたあとの入出金口座の移行


法人成りした後の取引は、すべて会社の取引となります。それで、入金や支払いについては、会社の預金口座を使用することになります。個人事業者のときのクライアントにきちんと連絡をしておかないと、個人の口座に振込されてしまいます。法人口座を開設したら速やかにクライアントにはお知らせしましょう。

「資産」や「負債」を引き継ぐ場合

2014-12-24

■引き継ぐことができる資産・負債と引き継ぎの方法


ほとんどの資産と負債は会社に引き継ぐことができます。しかし、事務所賃借の際の敷金・保証金、コピー機のリース契約は、不動産所有者やリース会社に確認する必要があります。さらに、開業費等の繰延資産といった例外もあるので留意してください。引き継ぐ方法はいく通りかありますが、いずれの方法をとっても時価で取引することがポイントです。引き継ぎ方法は❶売買契約、❷現物出資、❸賃貸借契約の3つがあります。

 

①売買契約


個人事業者の社長より会社に対し、資産あるいは、資産と負債を売却する方法です。個人事業者の社長と会社で売買契約を締結して金銭のやりとりをします。負債を引き継ぐことは「債務の引き受け」といいます。この方法の長所は「明快でわかりやすい」ことです。逆に短所は、会社が買い取るための資金が必要であること、税金(所得税、消費税等)を考慮する必要があること、不動産の売買であれば、不動産所得税、登録免許税が会社にかかることです。

 

②現物出資


個人事業者の社長より会社に対し、金銭以外の資産あるいは、資産と負債を出資する方法です。通常、出資というと金銭を会社に払い込んで、株主になることをいいますが、出資は金銭に限定されているわけではありません。自動車等で出資することも可能です。この方法の長所は、会社の資本金が増加することです。逆に短所は、資産の内容によっては、時価を算出することが困難で税理士等の専門家にそうだんする必要があります。

 

③賃貸借契約


個人事業主の社長より会社に対し、資産を賃貸する方法です。個人事業者の社長と会社で「賃貸借契約書」を締結して、賃貸料を払うだけでいいので、明快です。会社と会社の社長は、まったく別ですから、会社と会社の社長で賃貸借契約を結んで、会社の社長は賃貸料を会社から受け取ることができます。しかし、個人事業者として賃貸していた事務所を会社に又貸しする場合には、「無断転貸」等の法的問題には十分に注意する必要があります。大家さんとの信頼関係を壊すことによるトラブル回避のため、大家さんには事前に十分に説明して、改めて法人として「賃貸借契約」を締結してもらうようにしましょう。この方法の長所は、不動産取得税や登録免許税等がかからないことです。逆に短所は、賃貸料の受け取りは所得となり、法人なりしたあとも確定申告を続けなければならないことです。さらに適正な賃貸料を設定しておかないと、適正な賃貸料と実際の賃貸料との差額を役員賞与とされます。役員賞与は費用とは認められず、法人税が課されます。

 

④資産・負債を引き継ぐ場合の具体的な注意点


♢売掛金・貸付金・買掛金

売買契約、または現物出資のいずれでも引き継ぐことができます。手続きが煩雑になるため、専門家に依頼するか、そうでなければ、個人事業として回収ないし支払いをしたほうがいいでしょう。

♢棚卸資産

売買契約または現物出資のいずれでも引き継ぎ可能です。しかし、季節はずれや棚ざらしのものは時価評価が困難なので、個人事業として販売しきるようにしましょう。

♢固定資産

自動車、工具器具等が固定資産の代表的なものといえます。これらは、売買契約、現物出資、賃貸借契約のいずれでも引き継ぐことが可能です。売買契約、現物出資の場合は、名義変更、保険の手続き等も確実に行ってください。土地、建物等は、売買契約あるいは現物出資にすると個人事業者の社長に売却益が発生したり、会社に登録免許税や不動産取得税が発生したりする場合があります。結果、土地、建物等は賃貸借契約で引き継ぐことが有だといえます。なお、賃貸借契約にて、会社から個人への賃借料の支払いが発生すると、個人は法人成りした後も家賃収入を確定申告する必要があります。

♢借入金

売買契約、現物出資のいずれでも、他の資産と一緒に引き継ぐことが可能です。あわせて、事前に金融機関等の債権者にその旨を相談し、手続きを確認しておきましょう。金融機関が了解しなければ、個人事業者として引き続き返済していくことになります。

資産・負債を引き継がない場合

2014-12-22

■個人事業を精算する


この場合は、正確に言うならば「法人成り」ではなく、個人事業は廃業し, 新たに会社設立したということになります。個人事業に関しては、残務処理として売掛金、買掛金の精算のみを行い、法人設立日以降に発生する売上げ、費用等は計上しません。個人事業の資産・負債を引き継がない場合、会社設立後に個人事業としての残務を、たんたんと処理していきます。処理すべき事項を以下に記載します。

❶すべての在庫を販売する。❷売掛金・買掛金を回収する。❸買掛金・借入
金をすべて支払う。❹個人で事務所を賃借した場合は、解約ないし会社への
名義変更をする❺従業員がいる場合は、退職処理を行う。❻契約事項(リー
ス等)は、可能ならば会社に引き継ぐ。
これらを処理して、すべてを精算することで、個人事業は廃止となります。

また、これらに続けて、次の2点を行います。❶個人事業廃業に関する各届
出書を提出❷最後に個人事業のすべての取引の終了日までの確定申告を翌年
3月15日までに行う。

法人なりするプロセス

2014-12-22

①事業用の資産と負債の引き継ぎ


法人なりに伴って、個人事業として所有した資産および負債を引き継ぐことになります。その場合、引き継ぐ方法を決めて、それにそって手続きをしていきます。

 

②各種契約の変更


取引関係者に対して、個人事業主から会社に変更したことを連絡します。また、事務所、店舗、工場等の賃貸借契約、大型コピー機のようなリース契約、水光熱費等も社長個人から会社への名義変更をします。引き落とし口座も法人口座に変更します。

 

③各種届け出について


法人なりすることにより、各種の届け出をする必要があります。

♢会社の設立に伴う届出書

♢個人事業の廃業に伴う届出書

 

④個人事業の確定申告を行う


個人事業を廃止した年の翌年3月15日までに、最後の確定申告を行います。この際、特別な処理も発生しますので、留意しておいてください。

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